腋臭症(ワキガ)・多汗症

腋臭症(ワキガ)・多汗症とは

汗は「アポクリン腺」と「エクリン腺」という2つの汗腺から分泌されます。

腋臭症(ワキガ)は、脇の下にあるアポクリン腺から分泌された汗と皮膚の常在菌によって強い臭いが発生する状態のことです。一方、多汗症は、エクリン腺から分泌される汗が、日常生活に支障が出るほどに大量に出る状態のことです。

これらは全く別の疾患ですので、その治療法もまた異なります。

腋臭症(ワキガ)・多汗症とは

腋臭症(ワキガ)・多汗症の原因

  • 腋臭症(ワキガ)

    腋臭症(ワキガ)の原因

    腋臭症(ワキガ)の強い臭いはアポクリン腺から分泌された皮脂、老廃物(タンパク質)を含んだベタベタした汗を、常在菌が分解・酸化することにより発生します。

    アポクリン汗腺は脇の下の他に、耳の中や乳輪、外陰部(デリケートゾーン)などの特定の部位に分布しています。

    腋臭症(ワキガ)が発生する要因として「遺伝」や「アポクリン汗腺の発達」「性ホルモンの影響」「生活習慣の乱れ」などがあり、耳垢が湿っている方はアポクリン腺が多いと考えられるためワキガを発症する可能性が高いと言われています。

    腋臭症(ワキガ)の主な治療法

    腋臭症(ワキガ)の治療は、主に外用療法や手術、マイクロ波治療(当院採用なし)などがあります。症状の重症度に合わせて治療を行います。治療法によっては保険適応外となる場合もありますので、診察時にご確認ください。

    外用療法

    制汗剤や発汗を抑える塗り薬、塩化アルミニウム液の外用剤を使用します。

    主に軽度の治療に用います。

    手術

    重度の腋臭症(ワキガ)には手術が有効です。取り残しがほぼなく根本治療として効果が高い方法です。

    手術では、臭いの元である脇の下のアポクリン腺を取り除いてしまうことで臭いを減少させます。ワキのシワに沿って数センチ切開した後、皮膚を反転し目視でアポクリン汗腺を確認しながら専用器具で切除します。

    術後は5日ほど安静にしていただき患部へのシャワーも5日後から可能です。

  • 腋臭症(ワキガ)

    多汗症の原因

    多汗症には、全身性と限局性があり、何らかの疾患や内服薬などによって引き起こされる「続発性多汗症」と、原因不明である「原発性多汗症」に分けられます。

    続発性多汗症は、甲状腺機能亢進症や糖尿病、更年期障害などの疾患による精神的な緊張や末梢神経の損傷が原因になる為、原因となる疾患の治療を優先的に行う必要があります。

    原発性多汗症は原因がはっきりとわかっておらず、思春期から中年世代の若年層や家族にも同様の症状がある方が発症しやすいとされています。

    多汗症の主な治療法

    原発性局所多汗症の治療は、外用療法やイオンフォトレーシス(当院採用なし)ボトックス注射などがあります。症状の重症度に合わせて治療法を選択します。治療法によっては保険適応外となる場合もありますので、診察時にご確認ください。

    外用療法

    • 塩化アルミニウム液(保険適応外)
      汗管内上皮細胞が損傷を受けて表皮内汗管が閉塞することにより発汗量が減少します。
    • エクロック

      腋窩の発汗は、交感神経終末から分泌されるアセチルコリンが、エクリン汗腺にあるアセチルコリン受容体に結合することで起こります。エクロックは、アセチルコリン受容体を選択的に遮断する抗コリン薬です。

      元々緑内障や前立腺肥大がある方は、使用できません。

    • アポハイドローション(原発性手掌多汗症治療剤)

      日本初の保険適用となる原発性手掌多汗症治療薬です。発汗の原因であるエクリン汗腺にあるムスカリンM3受容体に対する抗コリン作用によって発汗を抑制します。

      緑内障や前立腺肥大、重篤な心疾患、当閉塞又は麻痺性イレウス、重症筋無力症のある方は使用できません。

    ボトックス注射

    ボツリヌス菌の毒素を医療用に改良したものがボトックスです。交感神経終末からのアセチルコリン分泌を抑制する作用があり、腋窩に注射することで、発汗が減少します。

    注射後は一般的に2~3日で脇汗が減少し始め、2~4週間程で効果が安定してきます。効果は平均6ヶ月程度持続します。

    外用薬と比較して、1回の治療で約半年間の効果を得られるという利点があります。