皮膚がん

皮膚がんとは

皮膚がんは悪性のできもの(腫瘍)です。がんのため、放置するとどんどん大きくなり、深部へと浸潤し、最終的には転移を起こして命を脅かす場合があります。

皮膚がんの中には転移を起こさない、もしくは転移を起こすことはかなり珍しい悪性度の低いものと、転移を起こし命に関わる悪性度の高いものがあります。

早期発見・早期治療で完治することもありますので、気になるできものがありましたら速やかに受診することをお勧めします。

皮膚がんとは

代表的な皮膚がん(悪性腫瘍)の種類

悪性度の低い皮膚がん

  • 日光角化症

    日光角化症

    日光角化症とは日光(紫外線)を浴び続けることにより発症する1~2cmほどの角質やかさぶたなどを伴う紅くまだら状のシミのようなものです。

    有棘細胞癌(後述)の初期病変と考えられ、この状態の時には転移を起こさないとされています。

    治療は、液体窒素、レーザー、外用薬、手術(切除)などがあり、その効果は様々です。その方の社会的背景や病変の部位等、多方面から治療方法を考慮して治療を行っていきます。

  • Bowen(ボーエン)病

    Bowen(ボーエン)病

    Bowen(ボーエン)病は表皮内部に生じるがんのひとつで、円形や地図状に皮膚が赤くざらざらとし、細かいフケのようなものが付着したものです。

    Bowen(ボーエン)病も有棘細胞癌(後述)の初期病変と考えられ、転移は起こさないとされています。

    治療は、基本的には手術を行います。病変より3~5mm程正常皮膚を含めて切除します。病変が小さい場合は基本的に縫合して閉じますが、病変が大きい場合や縫合が望ましくない場合は局所皮弁術(皮弁作成術)や皮膚移植(植皮術)などの再建術を行うことがあります。

  • 基底細胞癌

    基底細胞癌

    基底細胞癌は上皮(表皮や毛包上皮)ががん化した悪性腫瘍で、皮膚がんの中では最も頻度が多い一方、最も悪性度が低いと言われており、転移もまれです。黒色の斑状・結節状のものがほとんどで、転移はしないものの周辺の正常組織を破壊しながら浸潤することがあります。

    中年以降の顔面、特に正中部(眼瞼、鼻、上口唇)に多く発生します。

    治療は、腫瘍を切除することです。病変より3~5mm程外側に切開を加えて切除します。顔面に好発する腫瘍のため、切除後の見た目をなるべくきれいにするべく、局所皮弁術(皮弁作成術)や植皮術などの再建術を行うことが多くあります。

悪性度の高い皮膚がん

  • 有棘細胞癌(扁平上皮癌)

    有棘細胞癌(扁平上皮癌)

    有棘細胞癌(扁平上皮癌)は、表皮角化細胞が悪性増殖することでできる腫瘍です。紫外線が発生要因の一つとされており、日光に当たる部位に発生することが多いです。また、やけど跡やウイルス、放射線、ヒ素なども要因とされています。

    有棘細胞癌の初期病変が日光角化症・Bowen(ボーエン)病です。

    症状として肌が紅く皮膚表面がかさついたようになり、硬く少し盛り上がったりしこりが出来たりします。進行するとただれや潰瘍ができ、付近のリンパ節や他の臓器に転移します。

  • 悪性黒色腫(メラノーマ)

    悪性黒色腫(メラノーマ)

    悪性黒色腫(メラノーマ)は、メラニン色素を産生するメラノサイト(色素細胞)ががん化してできた腫瘍です。黒くほくろのようですが、濃淡があり形が整っておらず、境界線が不明瞭で、多くは直径が6mm以上などの特徴があります。

    紫外線や遺伝的素因、免疫不全、局所的な炎症などが要因とされています。

    リンパや血液に乗って転移しやすい悪性腫瘍なので早期発見が重要です。

  • 乳房外Paget(パジェット)病

    乳房外Paget(パジェット)病

    乳房外Paget(パジェット)病とは、アポクリン汗腺という汗をつくり出す組織から生じるがんの一種で、陰部周囲やワキの下によくみられます。

    赤みのあるかぶれのような症状で、真菌(カビ)との判別が難しい場合があります。

    表皮内にがん細胞が留まっている状態であれば転移することは少ないですが、深く進行してしまうとリンパ節や他臓器に転移することがあります。

    早期発見と治療が重要です。

皮膚がんはこちらで紹介しているもの以外にまだまだ多くの種類があり、その治療も多岐に渡ります。気になるしこりがあれば、お気軽にご相談ください。

悪性度の高い皮膚がんの治療

有棘細胞癌(扁平上皮癌)や悪性黒色腫(メラノーマ)、乳房外Paget(パジェット)病などの悪性度の高い皮膚がんは、リンパ節や他臓器への転移の恐れがあります。

まずは病状の進行度の診断が必要となります。そのため、総合病院で画像検査等の精査が必要になります。進行度によって治療法や生存率は異なります。

これらの悪性度の高い皮膚がんを疑った場合は速やかに連携施設へ紹介させていただきますので、まずは当院へご相談ください。